漢方(国際中医師)や動物の扱い(やさしい保定、飼い方、しつけ)の知識 地域ナンバー1を目指し、学術更新をしております

映画『いのちスケッチ』を見てきました

みなさんは、もう『いのちスケッチ』をご覧になられましたか?

私はやっと見ることが出来ました。2019年11月上旬から上映が始まり、この日に行こうと思った日には、上映終了。その後も大野城のイオンシネマで4月末に再上映の情報が流れてきたのですが、コロナでどうなったのかと言う感じで、見るチャンスをことごとく逃していました。今回、大野城のまどかぴあで上映されるとのことで見てきました。

何か、モデルがあるの?

映画の中では延命動物園となっていましたが、実際は福岡県の大牟田市動物園を題材にして、本当の動物園内で撮影されています。

ストーリーはもちろん作り話ですが、実際の大牟田市動物園の取り組みを元に作られた話です。

大牟田市動物園って?

大牟田市動物園は、とても小さな動物園なのですが、とてもすごい動物園なんです!

以前は、ちいさな採算が取れない動物園で閉園の危機もありながら、椎原園長先生をはじめ、若いスタッフたちが力を合わせて、動物園の再建に取り組んでいきます。

その柱が、動物福祉なのです。

大牟田市動物園は、日本の動物園業界では一番有名と言っていいほどの動物園です。

動物行動学を学ぶ人間であれば、大牟田市動物園を知らない人は潜りと言うくらい、とても有名な動物園なんですよ。

見る前の私の気持ち

動物関係のドラマなどは、いちいち突っ込みどころ満載で、動物にも無理をさせたり、ありえないことがたくさん起き過ぎてあまり好きではないです。

だから、前振りでは良いことは知ってはいたものの、そして、私の周りもあえてどんな話か言わないので、一緒に言ったスタッフに、「どんな話なんですか?」と聞かれても、「よく分からないんだよね。ハズバンダリートレーニングの事だけしか知らないなぁ~」と、そんな感じで、「きっと良いんだろうな」と言うくらいで行きました。

感想

私は獣医師と言う立場だからなのか、自分自身に投影してしまい、何度となく涙が流れてくるのを止めるのが大変でした。

女性獣医師さんの言葉は、一つ一つうなづけて、その言葉をすべて書き留めたいくらいでした。

その中の一つなのですが、私も普段、行動診療で来られる多くの飼い主さんたちに伝える言葉で、「困っているのは動物たちなんです」と言う言葉。書き留めたわけではないのでニュアンスだけお伝えします。

飼い主さんが問題行動に困って私のところを訪れるのですが、私は小動物の飼い主さんに向けてお話しすることは、「実は動物たちの方が、もっともっと困っている。どうしたら良いか困っていて、自分なりにいろいろ考えた末に、その行動が最善と思って選択している」など伝えることがあります。

そう、人間との生活で、様々な状況において困っているのを、動物たちが自分なりに解決しようとして考えた、たくさんの作戦があって、でもその選択肢が私たちが望まない行動だから、結果、問題行動と言われてしまうんですよね。

その距離を縮めるために、行動学を勉強するのです。

えへへ、抽象的過ぎて分かりにくいですよね。わざと分かりにくく言っているわけではないんですよ。今は分かりにくいって思うかもしれませんが、行動を勉強すると、この言っている意味が分かるようになるんですよ。

そして、園長先生の立場と私の院長と言う立場から、動物園の経営と動物病院の運営を、すごくリンクさせてしまいました。

例えば、動物園のふれあい体験などを増やせば、一般の人にはウケが良いかもしれないけれど、動物には負担がかかり、動物福祉に反する事。でも、それと経営がリンクしない事。

すごくすごく分かります。私もそのジレンマで、胸がいつも締め付けられます。

でも動物の福祉を考えて頑張っていくしかないし、それが花開くかどうかはこれからと言うような感じの事も、おっしゃっていたのかなと思います。

私は、動物福祉を出来るだけ取り入れた動物病院づくりをやっていきたいと思ったのだから、たとえ世間からの評価が伴わなくても、動物たちに本当に優しい動物病院をこれからも目指していこうって、思えました。私も本当にちっちゃな町医者として、些細なことから出来ることをコツコツとして行きたいって、たくさん元気をもらえました。だからウルウルって。わたしが遠い将来、獣医師を引退するその日までに、世の中が少しでも変わるように頑張っていけたらいいなって。

私と大牟田市動物園の出会い

大牟田市動物園のお話は、いたる所で聞いていました。

ある時、クリッカートレーニングの勉強会に参加しました。そこで、「こちらが大牟田市動物園の園長先生です」と紹介されました。先生自身もこうやって勉強会に参加されていらっしゃるのです。いろんなトレーニングや福祉の勉強会に参加され、そこで、ちょこちょこ顔を合わせるようになりました。

余談になりますが、実は福岡県の動物愛護センターの職員さんや獣医師さん、保健所の方なども、自費でこういう勉強会に出てこられていることを多くに方にも知って欲しいですね。

一般の方々の知らないところで、動物たちに真剣に向き合っている人たちは、行動やトレーニング、そして動物福祉の勉強会に参加されています。だから、あ~~って、皆さんとしょっちゅう会います。今はWebが多いですが。勉強会仲間です( ´艸`)。いつの間にかこんな大切な、人とのつながりと言う財産が出来ました。

アニマルリレーションシップdeux

その勉強会や、私が参加する多くの勉強会を主催して下さるのが、アニマルリレーションシップdeux さまです。

私もFacebookなどで、開催される勉強会をよく紹介させていただいていますので、目にされることも多いかもしれませんね。

興味を持たれましたら、勉強会に参加しませんか?質の良い勉強会を引っ張って来てくれていますし、Facebook、Instagramで、多くの情報を発信して下さっています。

↑アニマルリレーションシップdeuxさまのFacebookとInstagramは こちら

エンドロール

今回の映画のエンドロールでも、園長先生の椎原先生と、広報の冨澤さん、そして、アニマルリレーションシップdeuxさんの名前は見つけることが出来ました。なかなかエンドロールで、こんなにたくさん知っている名前を見るのも珍しいですね。目を皿にして探しましたが、早すぎて見落としてしまった方も多いような気が(;^ω^)。

あ、福岡県獣医師会もありましたよ♪

撮影秘話(追記)

この記事を書いた後に、大牟田市動物園のとある職員さんに、教えていただきました( ´艸`)

監督さんは、この撮影が始まる1年くらい前から動物園に何度も何度もいらっしゃって、公私にわたりいろんなお話を聞かれたそうです。

動物園の取り組みに関しては、何度も台本の修正を加えられたそうです。それでもごく一部は、実際と異なる部分もあります。それは、当然ドキュメンタリーではなく、映画と言う物語ですもんね。けれど、動物園の取り組みに関しては、その通りだそうですよ!

私が感動した、女性獣医師のモデルも分かりました。でも内緒です。彼女とはキャラがまったく違うし、でも、動物に対しての愛情と心の響くセリフは、彼女の気持ちから『ヒント』を得たんだろうなと、納得出来ました。

あくまでも、ヒントです。彼女は、感情をあんなふうに直球で出す方では無いですからね(^_-)-☆

でも、動物達への愛情は、とても伝わってきましたよね。

そして、初めは動物の事だけ考えている獣医師のような映り方でしたが、最後は本当にやさしく人にも動物にも愛情豊かな描写が、私には伝わってきました。

そこから真のやさしさを感じた方も、多かったのではないかと思います。

多くの方に見て欲しい

動物園に興味のない方にも、見て欲しいなって思いました。犬、猫や、ウサギ、ハムスター、その他の動物の飼い主さんにも。

劇中のあれらのセリフって、どうやって生まれたんだろうって、本当に思います。

すごくすごく、いろんな思いが込められているって、思います。

もちろん物語なので、見やすくするために現実ではありえないこともたくさん出てきます。例えば、ライオンの採血が成功した時に、園長先生が拍手する場面がありますが、絶対あんなことはあり得ません。危険ですからね。もうちょっと時間が経ってだったり、場所を変えて喜ぶことでしょうね。でも、物語を感動的に伝える手法としては、あそこで拍手が出てくることでしょう。だから、物語として伝えやすくするために作られている部分もあり、実際とは違う事もたくさんあると思います。なんたって、武田鉄矢さんが演じる園長先生は、現実の園長先生と真逆のキャラですからね(笑)

だから、真に受けて見るのではなく、全体像としてとらえる形で見ていただきたいなと思います。それも作品としての手法で、一般の方に伝えるためには、すごく分かりやすい表現を選択されたのではないかと思います。(私たちが行動学的に正しいと思う表現方法をそのまま出しても、物語としては、伝わらないと言う意味です)

そうすると、すごくたくさん大切な事が盛り込まれていることが分ります。

映画の題材の一つですが、なぜ、ハズバンダリートレーニングなのか。それは動物の命を救うためなのです。

私のような一般の動物病院で、行動学に力を入れているのも全く同じです。困った子を何とかしたいとか、都合の良い動物を作りたいのではありません。動物たちにとって不都合が少ない生活を提供できること、そして、命を救うためです。

獣医療の技術をいくら身につけても、行動学の知識がないと救えません。

(補足:良かったら、こちらも参考になさってください ← ← ← クリック)

多くの方がこの映画を見て、ご自身で考え、何をしたらよいか行動して下さると、これから動物にとてもやさしい世の中になっていくんだろうなって思います。

本当はこれからたくさんたまったWebセミナーを見なきゃいけないのですが、それより先に記事にしたいと思ってあふれる気持ちをつづりました。ちなみに、Webセミナーのほとんどが、行動学関連のもの(獣医行動学、トレーニングなど)です。さて、心がホットなうちに、私も微力ながら動物たちのために出来る事の選択肢を増やすために勉強します!

そんな、温かい気持ちになる映画でした。

追記:もう一度見たくて、Blu-rayとオフィシャルブック、買ってしまいました( ´∀` )

Blu-rayとDVDは、それぞれこちら

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