漢方は大丈夫だけれども、中医学をやっている動物病院はヤバいという書き込みをしばしば見ます。
中医学とは
そもそも、中医学は漢方(和漢方)の大元です。中国医学が日本に渡って来て日本独自に発展したのが漢方です。ですから、中医学と同じ方剤もあれば、アレンジされたものもあります。
さらに、和漢方は日本独自の医学なので世界的に通じるのは中医学なのです。
漢方を英語で何というか調べてみました。Chinese medicineなんですよね。だから、漢方がOKで中医学はNGと言う発想がどこから来たか分からないですよね。
西洋医学 vs 東洋医学
確かに一部の医療系の方の中にはこの構図を出される方がいらっしゃいます。
ただ人の医療の方が、一般的に漢方を処方される病院も増えてきたため、東洋医学に否定的な病院は少ない印象です。動物病院ではまだまだ浸透していないせいなのか、東洋医学を否定的にとらえられる獣医師がいらっしゃるのが現状です。
そもそも診断の仕方が違うので、西洋医学的な処方で漢方を使っても、十分な効果を引き出せません。西洋医学的な診断名ではなく、体質からアプローチした診断が中医学なのです。
西洋医学と中医学の違い
西洋医学は画像診断であったり血液検査であったり、検査結果を重要視する傾向があります。
中医学は検査などが無い時代からの医学なので、症状が大切です。
さて、ではどちらが優れているのでしょうか。
実は、どちらにもメリットとデメリットがあるのです。
西洋医学では、症状が無いものも検査によって発見できる反面、検査で異常が無いけれどもけだるいとか、頭痛がするなどは診断が下らないのです。不定愁訴といいます。
東洋医学やその中に含まれる中医学では、症状があれば診断することが出来ますが、症状がない異常病変にはアプローチ出来ません。
ですから、全く言語が違うのです。
どちらが優れているとか、どちらが劣っているとかではなく、視点が違うのです。
同病異治・異病同治
同じ病気でも治療が違う。
違う病気でも同じ治療という意味です。
西洋医学的に同じ病気であっても、中医学的には診断が異なります。
お互いを否定せず
確かに東洋医学をなさっている先生のなかにも、西洋医学を全否定なさってあおるような方もいらっしゃいます。そういう行為が西洋医学の先生方の感情を揺さぶっているのだと思います。
私は西洋医学を第一選択とし、その中で中医学の方がよさそうと思ったらそれらをお勧めしますし、西洋医学の治療が良いという方に無理強いをしません。また、両方を上手に使ってより良い治療を行ったりします。
良い事は上手に取り入れてやっていったら良いと思います。
中医学の中には、和法という治療方法があります。戦わせるのではなく、調和させる治療方法です。争っている状態を沈めて調和を取るのです。
そんな素敵な治療があるからこそ、中医学を学んでいれば、対立構造を生むのは無いなって思います。
当院は、中医学を正しく学ぶ努力を日々惜しまず、国際資格を保有する動物病院です。
東洋医学を取り入れる前から、無意識に東洋医学の概念に到達し、飼い主様方にアドバイスをしていたため、当院のかかりつけの子たちは元気で長生きの子が多いです。
さいごに
実習で来られた学生さんや、他院で勤務なさっていた愛玩動物看護師さんが当院の子たちの長寿で元気な姿を見て、一同ビックリなさいます。
穏やかで楽しいペットライフを過ごすために自分の子にしてあげたいことを学び、その目線で飼い主様にも提供させていただいております。