ペンションや町医者のような 気軽に立ち寄れる存在で ありたいと思っています。

犬のしつけに使うチョークチェーンについて

チョークチェーンってご存じですか?

チョークチェーンとは

choke chainと書きますが、chokeの日本語の意味を調べてみて下さい。

(首を絞めて)窒息させる、(人を)絞殺する、(人の)息の根を止める、むせさせる、息苦しくする、息を詰まらせる、詰まらせる、ふさぐ、いっぱいに詰める、だめにする、枯らす、~の成長を抑える(阻止する)、チョークをかける、などなどです。

何とも恐ろしい言葉が、続きますよね。

どんな道具か

チョーク=締め上げることで、動物の動きを制御するものです。グエーっと喉が絞まります。動物は苦しくて、嫌悪刺激により、その動きを止めます。

つまり、オペラント条件付けの正の罰を用いる手法です。即効性があり効果が出やすいので、強制訓練や体罰を用いて行うトレーナーさんたちが、好んで使う道具です。

しかし動物は苦しいため、表向きは慕っているかのように見えていても信頼関係は壊れていたり、それをきっかけに攻撃行動を誘発したり、心を壊して精神疾患になったり、直接的に身体の機能を損傷することもあります。

チョークチェーンの種類

  • ハーフチョークチェーン
  • チョークチェーン
  • スパイクチョークチェーン

などがあります。

ハーフチョークチェーン(ハーフチョーク)

ハーフチョークは、一部が布製だったり、すべてが金属のチェーンで出来ていないくて可愛いものも多いです。普通の首輪に見えますが、引っ張ると少し絞まるタイプです。

完全に閉まらないから動物にやさしいと思われている方もいらっしゃいますが、これもチョークチェンなので、動物に負担はかかります。

スポッと、はめやすいからなどの理由で使われている方もいらっしゃいます。抜けないためには首が絞まらないといけないわけです。また緩んでいる時に、違う方向の力がかかると、すっぽ抜けてしまい、とても危険です。

これらの特徴を知らず普通に使ってしまい、知識がないために悪気が無く動物に負担をかけている飼い主さんを、街角でも多く目にし、悲しい気持ちになります。

チョークチェーン(チョーク)

金属で出来ているものが多く、引っ張ると首が絞まります。締まり過ぎ防止の為に、途中にストッパーなどがあるものもありますが、首を絞めて動物の動きを制限する道具です。また、絞まらなくても喉に負担はかかります。

一般的なチョークチェーンは、こちらになります。

スパイクチョークチェーン(スパイクチョーク)

金属のチョークチェーンの内側に、何本もの金属の突起があります。

引っ張るとチェーンが絞まると同時に、このスパイクが動物に首に、めり込みます。

少ない力でも動物に痛みの刺激を与えことが出来て、より強い嫌悪刺激を与えるのが目的です。

チョークチェーンの有害性

チョークチェーンは、とくに気管虚脱や気管の低形成がある犬たちの気管を傷害する。また、時にはホルネル症候群(星状神経節の浸潤や眼瞼下垂、縮瞳などを伴う神経線維障害)の原因になる。一部の犬、特に短頭犬種では、突然の上部気道閉塞による胸郭内圧の急激な変化が致死性の肺水腫の原因となるかもしれない。また緑内障傾向の犬では首をカラーで圧迫することにより眼内圧が上昇するので症状悪化が考えられる。

(AVSABの声明 罰の有害反応 27ページより)

出典:獣医学教育モデル・コア・カリキュラム準拠 臨床行動学 (interzoo出版)2013年2月20日初版

以上の事からも、獣医師としてはチョークチェーンを用いるしつけやトレーニングは、止めるようにお伝えする立場です。この本からもわかるように、近年では内科や外科と同様、国家試験に組み込まれている科目であり、全大学共通の教科書でこのように書かれています。ですから動物病院、動物病院スタッフ、獣医師として、チョークチェーンを使っている飼い主さんに向けて、使わないようにアドバイスする必要があり、ましてや推奨してはいけないのですハーフチョークであろうと、どのタイプのチョークチェーンであっても、NGなのです。

チョークチェーンを使う目的としては、何かを止めさせるためです。使用目的を知らなくても、そういう結果となります。

一般的には引っ張りを防止する目的で使われますが、本来のほめるしつけは、何かを止めさせようとか、何かをさせようと言う概念ではなく、「そうしなくても良い」だったり、「それよりも良い方法を、動物に選択してもらう」トレーニングです。

ですからチョークチェーンをはじめ、動物の行動を制限するためにこのような道具を使うしつけやトレーニングは、私たちが目指しているものとは異なります。

チョークチェーンを使わないところであれば問題ないというわけでも無いのですが、少なくともトレーナーさんやしつけ教室、動物病院でのしつけ指導において、チョークチェーンは、全く必要無いと言う事を、知って欲しくて書きました。

何かを止めさせることを主体としている考えは、簡単に答えが出る上に一瞬スマートに見えるので、飼い主さんの期待を満たしてくれると言う事で、好まれてしまいます。逆に私たちの概念は単純ではないため、まどろっこしく映るケースもあり面倒くさがられることもあります。

しかし何かを止めさせる概念では、その他のにおいても動物に我慢や無理を強いることになるわけで、実際、獣医師やトレーナーさんの指導により、心を崩壊させてしまった子の治療を当院でも行う事があります。完全に元に戻せない事も多いです。

人においてもひどく傷ついてしまった場合は、簡単には元には戻せないし、戻るのにも時間がかかるし、戻れず苦しむ方もいらっしゃいますよね。そのような事を考えても、動物達でも同じようなことが起きていることを知っていただけると、ありがたいです。

いかなる場合でも、どんな理由でも、チョークチェーンは使ってはいけません。

ハーネス(胴輪)を推奨

当院では、チョークチェーンはもちろん、首輪での散歩もおすすめはしていません。

ただし首輪を装着することは、お願いしています。それは、狂犬病の鑑札や済票を付けるためです。狂犬病の札は24時間365日、常に装着する義務があります。ハーネスだと家に帰ってから外してしまいます。首輪は鑑札や迷子札などを付けるためのもので、散歩はハーネスで行くという概念を、お勧めしております。

ハーネスは、こだわるといろいろあります。それぞれに特徴があり、トレーナーさんたちでも絶対どれがいいという感じでもなく、座談されていらっしゃいます。だから私は、まだどれがどんな特徴でどんなのが良いかを、お薦め出来る域ではありません。

ハーネスだとグイグイ引っ張ってしまって困ると言う事で、首輪やチョークチェーンを推奨される方がいらっしゃいます。しかし、グイグイ引っ張らなくても楽しいと言う事を動物が体感出来れば、グイグイ引っ張る必要もありません。

動物側だって、引っ張ることで体に負担はかかるわけです。しかしそれでも、それ以上に引っ張ることで得られるもの(報酬)があるから、引っ張ることを学習し、それを選択しているだけです。

ハーネスを使って、グイッと引っ張るようなトレーニングを入れるトレーナーさんもいると聞きますが、グイッと引っ張るようなトレーニングもまた、必要ありません。それは嫌悪刺激を与えることによって、制御しようとしているからです。

当院として

そもそも「しつけ」と言う言葉が大嫌いです。最近は、「トレーニング」と言う言葉にも、違和感を感じ始めています。上手く言い表せないのですが。

日本語で、しつけに変わる一般的に広く知れ渡った言葉が無く、どうしても皆さんがこのようなことを探す際に、まだまだ「しつけ」と言うキーワードで探されることかと思います。そのために、仕方なくしつけと言う言葉を使っています。

動物に何かをさせるとか、動物を人間にとって都合の良いようにするために、行うものではないと、私たちは思っています。

私たち人間は、私たちの都合で動物を迎え入れています。一緒にいたいから。私自身もそうです。そうであると自覚するところから、まず始まると思うのです。

だからこそ、動物が人間と言う異種の動物と一緒に過ごす際に、可能な限り不都合を感じにくい状況で過ごせるお手伝いをするために、いろんなことを飼い主が勉強し、動物たちにも無理をさせるではない経験をしてもらったり・・・。

嫌なことをする獣医療においてもストレスを最小限にするために、例えば私たちに馴れていないのであれば、あえて声掛けをせずスピーディーに終わらせるなども、動物にやさしい医療なのです。声掛けは、「優しい医療で無い場合もある」と言う事を、皆さんに知って欲しいのです。これはちゃんと勉強しての知識です。

動物のストレスサインを読み、また、普段は動物にとっては楽しい所である場所に出来るよう、飼い主さんの協力が前提ではありますが、私たちは出来る限りの努力をし、知識も更新しています。その為、書き溜めたものの中には古い内容のものもあるかもしれません。そして、私も日々思考を進化させていますので、数か月後数年後には、また少し違った考え方になっているかもしれません。

飼い主さん自身も、一緒に更新をお願いいたします。

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