*当院は、獣医行動プラクティショナー(日本獣医動物行動研究会)認定の獣医師が診察する動物病院です。
みなさんが、犬や猫を飼う際に、わざわざ子犬や子猫から飼うのは、どうしてでしょうか?
- 飼いやすいから
- しつけしやすいから
などという答えが、普通は返ってくるかと思います。
本当に、そうでしょうか?
実際はこの時期は、いろんなものを引っ張り出して壊したり、誤飲してしまったり、あちこちでおしっこしたり、いわゆる無駄吠えだったり、むしろ“とてつもなく”大変な時期です。
高齢期の介護を除き、一番手のかかる大変な時期と言っても過言ではないでしょう。時間も知識も労力もたくさん必要な時期です。
お仕事をしながら、子育てをしながらで、日々の生活に追われ普段の時間を作れない方にとっては、子犬・子猫期からの飼育は、とてもハードルが高いと言う事を知って欲しいです。飼うと言う概念がどういう事かによりますが、ネグレクトも含めて(気づいていない方がすごく多いです)飼えると言う定義に入れるのであれば広い意味では飼えるかもしれませんが、本来の動物とのハッピーペットライフの良さを、全く引き出せません。
この時期を漫然(まんぜん)とダラダラ過ごすことは、あとから、もっとやっておけば良かったと反省し振り返っても、取り返しがつかないの修復不可能であると言う真実に、目を向けてください。
だからこそ、トレーナーや行動を学ぶ獣医師たちが、この時期の取り組みを必死に伝えようとしているのです。
犬に関してはトレーニングの事が注目され始めましたが、猫でも、とてもとても大切ですよ。少し話はそれますが、大牟田市動物園ではライオンの無麻酔の採血などの取り組みをされています。その事を考えても、猫でも正しくトレーニングすれば、いろんなことをさせてくれるのです。
せっかく飼い始めた子たちと、お互いに不都合が少なく、楽しく生活したいと思いませんか?そう思ってくださった方は、ぜひ読み進めていただけると嬉しいです。
はじめに
これから社会化期の事をお話をします。そしてあとでも書きますが、社会化期の時期が過ぎたからしつけやトレーニングが終わりと言う事ではありません。
今回、社会化期に特化して書くのは、特にこの時期を大切に過ごす意味を伝えたいだけであって、社会化期が終わった子においても、読んで欲しい記事です。
社会化期とは
通常は、子犬や子猫が親兄弟と過ごしている時期で、まだいろんなことに対して警戒心が薄い時期を示します。記事によっては「何でも受け入れられる柔軟な時期と書かれています」し、一昔前の私も、そのように説明することがありました。ですが今は、考えがガラッと変わりました。なので、あえて「警戒心が、比較的まだ敏感でない」というような書き方にさせていただきます。
この時期に良い経験を積み重ねることで、将来の苦手になるかもしれない危険因子を減らすことが出来ます。(あとで、一例のリストも載せています)
この時期を過ぎて、親兄弟から離れていくと警戒心が増します。なぜなら、警戒心が無いとケガをしたり、いのちの危険性があるからです。その為、怖い経験や嫌な経験をしたらすぐに、そして強固に、インプットされるのです。
社会化期以降は、「生きていくためスキル獲得、危険回避のための強力な学習など」を積み重ねていくと考えると良いかと思います。
社会化期に、警戒心が無いわけではありません
少なくとも私の飼っている子は、社会化期の時期からとても警戒心が強く、家に来て2日目に私のくしゃみに驚きすぎました。今までいた環境では、そんなことが無かったのでしょう。そして慣れない環境下での大きな音に限界が来たのでしょう。ビックリしたような表情をしていたのですが何度か目のくしゃみでついに気持ちが途切れたようです。吠えて咬みつく真似をする行動を引き出させてしまいました。しくじりました。
今はもちろんトレーニングの成果で、苦手を少なくすることが出来ています。そして私に、いわゆる攻撃的な行動をすることはありません。そのようなシチュエーションを作らないからと言うのもありますが・・・。決して漫然と飼っていて自然と馴れるというものではありません。様々な配慮と努力を繰り返しましたし、今も実行中です。そして、これからも継続する必要があります。
ワクチンなどで来院された際に、当院では医療行為だけを行うのではなく、動物を観察しています。そして、様々な性格の子に出会います。警戒心の強い傾向を示している場合は、特に積極的に伝えたいと思っております。飼い主様自身がこの子の将来の不都合を少しでも減らしたいと願って下さるのであれば、一般的な飼い方や取り組み以上に、慎重にしっかりと向き合う必要があります。飼い主さまのお考え次第ですが、積極的に向き合いたい意思を示して下さる方には、それぞれに合ったアドバイスをさせていただいています。
社会化期の期間
犬の場合は、生後12週齢(近年は14週齢とも言われています)、猫の場合は、生後9週齢までと言われています。
獣医行動学では、3か月とか2か月とか、“おおざっぱすぎる”月単位での説明しません。必ず週齢でカウントします。3か月は90~92日に対して、12週齢は84日だからです。
(注意:しつけやトレーニングの記事はたくさんあふれています。実際は読んで欲しくない記事もたくさんあります。その際に選ぶ基準の一つとして、少なくとも週齢で記載されていないものは、除外しましょう。:週齢で書いている記事が他の内容においても、正しいというわけでもありません)
たった1週間ですよね。
そう、でも・・・、そのたった1週間を大切にしなくてはならないくらい、この時期が終わりを迎えているかどうかをすごく意識して、社会化期を過ごしていかなければならないのです。
代表的な苦手リスト
これから苦手になるであろう代表的なリストをあげてみます。
◎動物病院
標準的な動物病院の使い方の場合、90%以上の確率で、動物病院嫌いになります。
「うちの子は大丈夫」「今は、怖がっていないから」ではありません。動物病院は「基本、嫌なことをする場所」です。嫌いになります。なってからでは遅いです。予想して想像を膨らまして、早期から取り組んで下さい。
当院では、飼い主様に馴らすための訓練に連れて来ていただきますし、私たちも診療の際に、獣医行動学やトレーニングの理論を用い、苦痛を最小限に出来るように努めています。
嫌なことをして、フードをあげて帳消しにしようとしないで下さい。それをされて、フードに嫌悪刺激を示すようになってしまった子がいます。そんな小手先の事を繰り返すと、もっと動物病院嫌いになります。
私自身、以前はそんなレベルであったことを反省します。過去の当院に来られた経験のある方は、そんな程度でご迷惑をおかけしたかもしれません。行動学を学んでからは、馴らしの訓練の際にさまざまな配慮を行っている無意識の意識で気づき、そのおかげで以前より成果を上げてます。
当院でご褒美をあげていることを知り、診療の後にご褒美を与える動物病院は増えて来ているようです。動物病院を苦手にさせないと言う取り組みが広がることは、大歓迎です。
しかし実際は、それにより逆効果になってしまい、当院で喜んで来院していた子が、当院でもご褒美を食べることが出来なくなってしまいました。それは、ご褒美に対しての嫌悪刺激が古典的条件付けで付いてしまったからです。ちなみに行動修正のスタートは、そちらの動物病院ではご褒美をもらわないように、飼い主さんに伝えました。どうせそちらでも食べなくなっているわけで、それを「どうして食べないの?スペシャル美味しいやつだよ?」なんて「ウザい」以外なにものでもないですよね。提示する事すら動物のストレスになっているわけです。そして、感情を以前のように戻すまでに、とても苦労した経験しております。
このように、うれしいはずと思われがちのご褒美でさえ使い方を間違えると、報酬ではなく、嫌悪刺激になることを理解して使わないと、怖いことになります。
当院では、きちんとその時その時の動物たちや周りの環境の状態を把握しながら、アドバイスさせていただいています。当院で馴らすための訓練にお付き合いくださっている場合、ほとんどのケースで動物病院を好きかもしくは、まあいっかとやり過ごせるレベルです。怖がって待合室で待てないと言う子は、馴らしのトレーニングに取り組んでくれているケースでは、ほぼいません。(注意:頻度が足りない場合は、取り組んでいるに含んでおりません)
◎体に触られる感覚
- 頭
頭をなでるのを嫌がる子もいます - 目
頬や目の周りを触り、観察したり目薬が出来るか、など - 耳
耳を持ち観察したり、投薬が出来るか、など - 口
唇をめくれるか、口を開け観察出来るか、歯磨きが出来るか、投薬が出来るか、など - 手足など先端
先端を持つのは嫌がります。手足・指の間などを観察出来るか、将来爪切りの際じっとして持つことが出来るか:トリマーさんに頼むにしても手を触る訓練は必要 - 尾
尾を持ち上げて、お尻を見ることも含む - 陰部
陰茎や睾丸周囲も - 仰向け姿勢
仰向けを怖がる子は、将来エコーを含めた検査や治療の際にとてもストレスがかかりますし、普段からお家で健康管理の観察が出来ません。 - 脇、胸、お腹、内股
触れるか、毛玉を作っていないか、など - ブラシのトレーニング
- その他、考えられることはいろいろやってみましょう。
実際は、この時期に歯磨きや目薬のトレーニングを完成させるなどと言う意味では無く、例えば口を触るベースを作っておくなど、触る感触に馴れておいてもらいます。また、何でも問題なく出来るようにするのではなく、「まあ、いっか」とやり過ごせるスキルと言う意味も含まれます。具体的には、取り組まれている方に対しては、院内で説明いたします。
無理やりではなく、嫌な感情を抱かせず、お触りできる子にしておくと、早期発見早期治療だけでなく、家での治療に結びつきます。
実際、病気を発見して診断し、最先端の薬や医療技術の提案をしても、これらのことが出来なくて、断念しなくてはならない症例がたくさんいます。
例えば投薬においても、基本は嫌でない方法で行いますが、どうしても食欲が落ちてきた段階において、食事に頼る投薬だけでは投薬できず治療が出来ないと言う事もあります。そこをどうするかは、動物の福祉を考えながら選択する必要があります。
私は、以前飼っていた子のうちの1匹を、17歳と10か月で送り出しました。その子が最後の時期、食事を食べることが出来ず薬も飲めない状態でしたが、彼女の苦痛を最小限にする投薬方法を用いて、西洋医学の薬に加え漢方を投薬し、めきめき回復。亡くなる1日前までしっかりモリモリ食べれるまでになりピンピンコロリと言う、飼い主としての私の理想的な状態で、送り出すことが出来たと言う経験をしています。そして、飼い主さまでも多数、ケアのスキルがあったからこそ、満足の行く看取りが出来たと言う経験しています。
◎様々な種類の音
- インターフォン
- 電話
- ごみ集めの時のごみ袋や空き缶の音
- その他の生活音
- 風や雨の音
- 雷
- 子供の奇声
- 犬の鳴き声
- 他種の動物の声
- 救急車、消防車やパトカーなど
- 飛行機
- 車がバックする時の音(車内で)
- 車のクラクション
- 自転車のブレーキ音
- トラックのブレーキ音(大きな空気音)
- 工事現場の音
- などなど
音に馴れる練習も必要です。
これらに怖がり始める前、まだ、キョトンとしている時期から始めましょう。実践方法は文章で伝えても正しく伝わらないため、やり方の詳細は載せません。また、苦手のサインを出している場合、単に音に怖がっているだけでない項目もありますので、ネットなどを見ながら取り組むより、私たちに相談していただきながら取り組んでいただく方が、トレーニングの成功率も上がるかと思います。
当院では、お風呂が沸いたチャイムに反応した症例もありましたが、これは単に音に驚いているのではなく、音とその後に起きている行動に連鎖されていたため、音の練習だけでは解決しません。
◎味覚や食感
実は社会化期に、将来必要になるであろう味覚や食感の経験も必要です。
特に猫は、この時期にウエットフードをあまり食べたことが無い子に関しては、一生食べることが出来なくなります。そして、当たり前に食べるからとその後与えないと、食べられなくなる子もいますので、定期的に与える習慣を作って下さい。
(補足:出来れば良質なウエットフードであれば、ドライフードよりウエットフードを推奨しています。ただし、良質なウエットフードは種類が少ないです)
つまり、「投薬に、とても苦労する」と思って下さい! 投薬出来なくて、治療を断念せざるを得ない方も多いです。
私もかれこれ10年以上昔にはなると思いますが、良質なものを選べばドライフードだけでも良いと言っていた一人です。しかし獣医師としての経験が長くなると、高齢動物の投薬で苦労したり、水分補給目的のウエットフードの給与が出来ないなどの経験もして来ました。猫には、ウエットを食べられない子がいるという事実を知って欲しいのです。
比較的犬の場合は、ウエットを食べてくれる子が多いですが、神経質な子は、このフードしか食べないなどもあります。
かと言って、やたらめったら、人の食べ物を与えるのは止めて下さい。
人の食事やおやつはもちろん、犬猫用のケーキなどは最悪です。嗜好品としてのおやつは全く必要ありません。病気の元ですし、トレーニングの効果も落とします。
◎場所の馴れ
重複する項目も含まれますが、
- サークルやキャリーバック(サークルトレーニングやクレートトレーニング)
「飼い始めの2週間出さないで下さい。入れっぱなしにして下さい」と指導を受けるケースが多発していますが、止めてください。これによる問題行動が、近年すごく発生しています。詳しくは院内で説明しますので、聞きたい方は質問してください。 - 車での移動
- 動物病院
- 屋外の環境
- その他、今後、行く必要がある場所の経験
◎その他
- メガネ、マスク、帽子、ヘルメット、杖など
- スーツ、作業着、制服姿など
- 男性、お年寄り、子供、赤ちゃんなど
普段経験しない事を、社会化期が終わった後、怖がるようになることがあります。
そのため特に犬は、抱っこ散歩は重要です。この社会化期の記事に興味を持ってくださった方は、こちらの記事も、かならずご覧下さい。
社会化訓練や馴化訓練の注意事項
嫌な感情を抱かせないと伝えても、私が考える嫌のラインをはるかに超えている場合がほとんどで、練習をすればするほど、嫌の学習をしているケースがとても多いです。
「先生の言われたとおりに練習しました!でも、いまいち上手くいきません!!!」と、「先生の言った通り」をめちゃくちゃ強調されますが、環境に配慮したうえで、学習の理論に従ってトレーニングをしていたらうまくいきます。出来ないのは、そのどれかで誤りがあるからです。
言葉だけやネットに書いている記事を読んだだけでは、無理です。嫌の概念を伝える動画を当院では撮影出来たため、それをお見せすることが多いのですが、動画で見ていただかないと正しく伝えることが出来ません。また、飼い主さま自身が実践している方法を動画で撮ると、出来ているつもりの所にも気付けます。(私自身も自分で動画を撮って、自分を再評価する事があります)
トレーニングにおいて、動画撮影と足りない部分を指摘してもらえる環境は、必須です。
社会化期に向き合わないと
子犬、子猫だからと、慣れない日々のお世話に追われて、積極的な取り組みを行わずこの時期を過ぎてしまうと、出来ない事が増えます。
例えば犬同士のあいさつなどは、ボディランゲージなどを勉強出来ていない為、上手くコミュニケーションが出来ません。そのため幼齢動物の販売において、8週齢規制と言う法律も出来ました。親兄弟としっかり過ごしてもらわないと、コミュニケーションをその後学べないのです。
研究において、人でもこの時期に外部と遮断され監禁され育った場合、その後いくらトレーニングしても、人としてのコミュニケーションを獲得できないと言う報告もあります。犬や猫も同様です。
ですから、この時期にこれらを学んでいない子に対して、無理やり犬同士仲良くさせようとするのは、正しいトレーニングを学んでいるトレーナーであれば、させようとしませんし、飼い主としても望んではいけない事です。動物福祉に反します。
重複しますが、先ほど書いた猫の味覚・食感もそうです。猫の食感は、あとあとはどんな方法を使っても不可能だと思って下さい。ウエットを食べられないと、投薬に苦労します。
これらは代表的なものの一部ですが、この時期にしておかないと、「一生出来ない事がある」と言う事を知って欲しいと思います。
確かに別の行動の種類においては、トレーニングによって一度苦手になったものをやり過ごす事が出来るようになることもありますが、一度苦手と言う学習をし、自分でその対策が良いと思っている子に対して、ニュートラルな状態に戻して、もしくは、悪感情から別の感情に変化させていくのは、とても大変です。それであれば、嫌悪感を抱く前から何の感情も抱いていない時、もしくは微妙な時期から、私たちが好ましいと考える感情や行動を引き出すことが出来るように取り組む方が、何十倍も楽ですし、動物たちも感情の狭間で揺れ動く負担をかける必要がありません。
社会化期だけで終わりで無い
行動は学習の元、常に変化します。
学んだことであったとしても、動物がより良いと感じる行動や感覚を身に付けたら、そちらを選択するのは当たり前です。
私たちだってそうですよね。そうやって、日々、生活していますよね。
その際に、私たちにとって好ましくないと感じる行動を動物たちが選択してしまうと、問題行動になるのです。
であれば常に、動物たちがどうしたら良いか困惑した結果、新しい方法を身に付けないように、私たちが好ましい行動を見守り、OK!の合図を出し続けなくてはならないのです。
だから、トレーニングに終わりはないし、トレーニングしようと思った時にするのではなく、日常に取り込んで行かなければなりません。
学べば、素敵なペットライフ
獣医行動学は、他の学問に比べ一番と言って良いほど新しい分野です。ですから、これからの学問でもあります。動物の心療内科や精神科に相当すると思います。そういう分野の薬も使います。
少なくとも、αシンドロームや権勢症候群、上下関係と言う概念は、古い概念です。これらの事を提唱した学者も間違っていたと訂正されているにもかかわらず、情報の一人歩きで、これらの事が語り継がれています。
そうは言っても、新しい概念が常に正しいとは限りません。しかし、新しい概念を取り入れながら、それが本当に正しいのか精査する力を身に着けながら、彼らに、より不都合の少ない環境を提供したいと思いませんか?
だって私たちは、彼らを人間社会に、勝手に人間のエゴで引き込んで、人間のルールに従わせてしまっているんですよ。一般的には。
だからこそ、私たちも犬や猫のルールを知り、出来るだけお互いにとって折り合いを付けられるように、どうしたら不都合の少なく、満たされた生活になるのかを、正しく学んでいく必要があると思うのです。
私は、行動学を学び始めてから、より客観的にわが子を観察するようになりました。もちろん、かわいいですよ。でもそれは、診療をしていて他の飼い主さんの子でも思う感情と全く同じで、診療の途中に「かわいい」と思わず言葉があふれてくる感情と変わらないんですよね。私の子と言う感情ではなくなっているんです。むしろ、「お預かりしている命を、出来る限り丁寧におもてなしし、私との生活環境で共存していただく」と言う感じでしょうか?
そうすると、いろんな人間側の都合は、人間が折り合いを付けなくてはならないことも気づきますし、動物側の緊張もほぐれ、どんどん距離が縮まっていきます。
イライラもしません。なんで!なんて悩みません。動物が悪いのではなく、私に理解力と、環境を整えたりといったフォローする力と、伝えるスキルが無いからなのです。そうすると、それらを必死で考える私がいます。毎日頭はフル回転です。とても充実しています。そして、それか!とあれば、とてもハッピーな気持ちになれます。
せっかく動物を飼うなら、病気治療だけで使う動物病院も良いですが、こういう事に寄り添える動物病院も、楽しいって思いませんか?
むしろ、もはや、動物病院と言うジャンルから切り離していただいても構いません(笑)でも、長年の経験と日頃の情報更新で、一般診療もしていますよ。誤解しないで下さいね。動物が好きで、動物との生活を極めたくて獣医師になりました。だからこそ、一般診療の先に、行動学と中医学と言うアイテムが今度は必要になってきました。普通の診療を地道に着実に行える環境を、整えるために。
楽しいハッピーペットライフを、私たちはお手伝いできると思います。そのために、これからも学び続けますね♪
飼育開始前の方へ
もしまだ、飼育を迷っている方が、この記事をご覧下さっていたのであれば、子犬子猫からの飼育スタートは、逆に決して簡単ではない事を、知っていただけたと思います。
それでも、ちゃんと取り組んでみたいと言う方は、子犬子猫からの飼育も良いかと思います。一緒に取り組みましょう。苦労を共有しましょう!
しかし、これを見て迷った方は、譲渡活動をしているボランティアさんなどから譲ってもらうのも一つの手です。2~3歳以上になると、若い子特有のハイパーな感じが取れてきます。
と言うのは、ていねいに子犬子猫に向き合うことが出来ると、本来のポテンシャルを引き出す可能性が高くなりますが、そこを出来ない飼い主さんであれば、結局、他の方が飼ってその歳になってしまった子と、あまり変わらないのではないでしょうか?
ただ、それまでの前の飼い主の飼育環境下で、心を病んでいるケースや病気の予防が不十分でのちのち後遺症が出てくる場合もあります。病気の状況や性格などをきちんと説明できるスキルのあるボランティアさんから譲ってもらう事を、お勧めします。心を病んでいる場合は行動診療などを行い、フォローアップする必要があります。飼育スキルが高い方でないと、動物を混乱させ苦しめてしまいます。そして、脳の発達段階で脳に悪影響を及ぼしている場合などは、一生引きずることもあることを覚悟しましょう。
ジモティーなどの直接交渉は、おすすめしません。
また、野犬あがりの子や、その遺伝子を引き継いでいる子犬は、野性味が強いので、犬と言うより野生動物と言う感覚で接した方が良いと思います。飼育のスキル上級者でないと手を出さない方が良いと思います。
(これらの知識はネットではなく、獣医行動学および動物福祉の勉強会に参加して取得しております)
まとめ
いずれにしても、動物を飼うと言う事は、とても大変なことです。楽しい事より大変さが上回るくらいの覚悟でお迎えしましょう。そういう覚悟をしていれば、その生活が当たり前の事となり、楽しい生活が待っています。
最後まで読んでくださり、ありがとうございます。
動物たちとのハッピーペットライフを極めたい。そんな動物オタクが集うの動物病院です。
私たちは、みなさんが診療に来られる行為を、「応援して下さっている」と受け止めています。そして、応援に答えられるように頑張ります。
ぜひ、抱っこ散歩の記事も、猫の飼い主さんも、関係のないと思っていらっしゃる方もご覧下さい。行動学に関するヒントが隠されていますから。
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↑是非、ご来院前に予習。話を聞いた後に復習。日々の生活の中で復習をしましょう!