漢方(国際中医師)や動物の扱い(やさしい保定、飼い方、しつけ)の知識 地域ナンバー1を目指し、学術更新をしております

動物の食ムラや食欲不振の原因は、ストレスかも?

高齢期や病気の子を除いて、若くて元気なのに「うちの子は食が細いです」「遊び食べします」「食欲にムラがあります」というご相談を以前はよく受けておりました。しかし当院においては近年ではあまり聞かなくなってきました。

とは言っても当院のかかりつけでない方を診察する際には、そのようなお声はいまだに聞きます。何か力になれないかと思い記事にしてみます。また気になられた場合はかかりつけの病院があっても、並行してお手伝い出来ることはたくさんあります。お気軽にお越しください。(初診の方はまずお電話をください。こちらもお願いします

発生時期

子犬の食べ物の選り好みの相談を受けるのは、生後半年前後以降が多いように思いますが、早い子はおうちに来た時から「あまり食べない」「時間がかかる」「食べている途中に遊び始める」「すぐに飽きる」「特定のものしか食べない」など聞きます。

他に、

  • 吐き癖がある(嘔吐が習慣化し、飼い主様が気にされていない)
  • 便が軟らかめ

などもよく聞きます。

漢方治療が著効した例

2週間前に嘔吐の症状でお越しくださいました。その時にはいろいろと診察しましたが西洋医学的には特に問題がある点は見つかりませんでした。しかし行動学的な面と中医学(漢方の源流)的な面では、気になる点が何点かありました。

  • 飼い始めて3週間目でお盆になり、いつも一緒にいない家族と合流。約1週間過ごす
    • 強いストレスを疑う。
    • 後日教えて下さったのが、飼い始め当初からお隣で工事があり、かなりの騒音があった(行動診療の時間を確保していなかったため、ここまでは聞き出せませんでした。改善がみられない場合は、行動診療の提案をしておりました)
  • 手汗がすごい
    • 脂汗で診察台にたくさんの肉球の跡が付くくらい
  • 四肢の先端(手足)が冷たい
    • 気滞など気の巡りが悪くなっていると疑う
      (西洋医学的にはストレスによる血管収縮)
  • 生4後か月で確かに社会化期は終わっているものの、それを差し引いても異常な警戒心
    • 見知らぬ人への恐怖
    • 見知らぬ場所への恐怖
    • その他
  • ボディランゲージによる様々なストレスサイン

そこで飼い主様と相談し、メンタルの漢方を中心とし、数種類を組み合わせて処方しました。

かかりつけは他にあったので一旦そこで治療は終わっておりましたが、先日、狂犬病ワクチンに来て下さいました。

その際におたずねすると、

  • 今までは1割程度は必ず食事を残していたのに、あれからすぐに食欲が出て完全に食べるようになった
  • その後治療が終わった後も、ぺろりと食べるようになり食事の心配をしなくて良くなった
  • 遊び食べをしなくなった

もしあのままだと、食事の味覚に対する嫌悪の学習が定着してしまい、食事の時間が嫌なものであるという感覚が一生続いてしまったかもしれません。また、十分な量を食べられていなかったため発育不良や様々な問題が出た可能性がありますし、成長期に脳にストレスがかかり続けると、ステロイドホルモンの過剰分泌などにより脳の発達にも悪影響が残ります。

そのため子犬で食べてくれないと心配になるために、食べさせたくて飼い主様も必死に食べさせようとしてしまいます。そうすると余計に「食事=嫌な事」と言う学習が進んでしまうのです。

早期に介入出来て良かったと心から思います。

食事を嫌がる子はとても多いですし、食べ物が嫌になるとトレーニングなどのストレスを軽減するための様々な方法を取ることがしにくくなり、不快やストレスからの解放に対する難易度が上がってしまいます。爪切りやブラッシング、歯磨きなどの日常ケアや、点眼、内服投与の投薬トレーニング、そして動物病院に馴らすトレーニングなども難しくなります。

ちなみに補足ですが、トレーニングは苦手意識を克服するものではなく、嫌々頑張るものではありません。

わが子の経験

わが子は、今まで飼った子の中で一番敏感な気質を持っております。おそらく一般の方には飼えないと思います。生得的にはそのような状態ではありますが、いかに彼にとって快適に過ごせるかを学ぶためには、私とのペアーは最強だと信じております。

はじめておうちにお迎えした時は、「移動もあるし、新しい家で落ち着いてご飯を食べたらよいでしょうね」と、そこで食べていた食事と一緒にお迎えしました。

しかし、何となく食べが悪い。そしてお水もあまり飲まない。ナチュラルハイの状態で私もまさかストレスがかかっているとは気づいていませんでした。(ナチュラルハイがストレスなのです)

それから次の日の夕方くらいから尿がとても濃くなり、さらに次の日には、かなり濃く少量しか出なくなって来ました。数日後には体重が減少傾向に。子犬は毎日体重が増えていかなければならないので焦りました。

もちろん当院はストレスに関しての勉強を積極的に行っている動物病院ですから、環境の配慮はしておりました。お迎えしてすぐ仕事で寂しい思いをさせないように連休前にお迎えし、数日の間に出来る準備を行い様々な配慮を行う計画で迎えておりました。それでもこのような状態でした。

たくさんの犬たちに囲まれた生活から一変したわけですから、それはそれは強いストレスを感じていたに違いありません。ましてや、赤の他人の家に来てさぞかし不安だったはずです。

そこでメンタルの漢方登場。

それらを飲ませながら、さらなる環境改善を行いました。今では普通の食事に関しては好き嫌いは無くなり、目新しいものであっても味が苦手で無ければ発現しません。警戒心が低下するとお薬などに関しての警戒心も軽くなります。今まで嫌といっていたお薬も自ら進んで食べるようになったものもあります。なのでわが家では「お薬」というキーワードは、嫌なものではなくポジティブ・キーワードなので喜んで寄ってきます。

それでも気質としての神経質さがあり、ふとした時にそのような気質が出るため、上手に分析し対応しております。

「食べない」ことを放置しない

私も以前は、好き嫌いなどの選り好みをしている、わがままを言っているなどのアドバイスをしてしまっていました。今となってはこのような事は言いません。ただし偏食にならないように、獣医師として栄養学的な観点からの助言はします。

生得的要因(生まれ持った気質)によりストレスに対して敏感な子などは、早いうちから食事の問題が出てきます。飼い始め当初から食事の食べ方に悩む方も少なくありません。

また社会化期終了後、生後6か月近くから1年前後の若年期前後では、様々なことに関して警戒心が増してくる時期です。この頃に食ムラなどのトラブルが出てきやすい事を考えてもストレスとの関係性を放置してはいけないと思います。

早期発見・早期治療

問題行動やメンタルに関しての対処は、どうしても飼い主様ご自身でどうにか出来ると思われがちで、他の病気よりもかなり悪化してしまってから来院されるケースが圧倒的に多いです。

実は飼い主様が「おや?」と思った時点で本来はご来院いただきたいのですが、

  1. 残念ながらその時点では気になっても、そんなものかとスルーしてしまい ⇒
  2. そこから、本格的にまずいと気付いて ⇒
  3. さらに、いろいろチャレンジされて ⇒
  4. さらなる悪化で、どうしようもなく ⇒
  5. そこで、やっと相談を受ける

のが、まだ今の時代は多数のように思います。

考え方は一般の病気と同じです。経過が長いとそれだけこじれています。そのため治療をしても多少何らかの問題が残り、完治に至ることが出来ないケースも多いのです。それは、それまでに彼らが様々な学習の上、彼らにとって最善と思われる行動を習得してしまっているからです。

「彼らが自発的に選択した行動」による学習を上回るほどのメリットを感じられる状況を、こちらが提示出来て整えることが出来れば、行動が変わる可能性もあります。そのような取り組みをしますが、元々の学習が無い方が私たちが望む方向の学習を進めるのは簡単なわけですから、彼らに自己解決の方法を見つけさせる前に来ていただきたいのです。その自己解決が彼らにとって最善であれば良いですが、そうではない場合、動物にとっても人にとっても不都合な状況が生まれるのです。

だからこそ、少しでも早く目を向けていただくためにそのような予防のために、記事を書きました。「お願い、届いて欲しい」という思いです。

ネットで調べたり、飼育経験者の体験談や、SNS相談などを行わず、メンタルのアドバイスが出来る動物病院に出来るだけ早く行くようにしましょう。特にSNSの相談を見ると、私たちのアドバイスと真逆の事があふれすぎて困っております。

ストレスケアは簡単では無いです

出来るだけストレスがかからないような飼い方というのは、実はとても難しいです。

なぜそこまで断言するか。おそらく一般の飼い主様方よりは私の方が圧倒的に多くの動物に接する機会があり知識もあるはずです。その私がこれらの勉強をすればするほど「何もわかっていないからこそ、もっと学ばなければ」と思うわけです。学ぶからこそ、学びの足りなさを知ることが出来るのです。

そしてそもそも、人間という他種の動物と過ごしてもらっているわけですから、動物たちに精神的な負担がのしかかっているのは当然です。そのためには動物の本能をしっかり学び、それらを満たすような飼い方をしなければなりません。犬や猫がどのような歴史をたどって家畜化されたのか、どのような習性なのかを、正しくご存じの方はまだまだわずかです。

その一つとして、食器で食事を与えることは本能を満たす飼い方にはなっていません。実はこれは動物福祉に反する事にもなります。また何かの機会に記事にしたいです。

皆さんが当たり前のように飼っている飼い方は実は不適切であり、それらを教えてくれるところはほとんどありません。動物病院でもほとんどわかっていません。

それが悪いと言っているのではありません。

様々な分野が得意な動物病院が出てきました。その中で私たちが得意としているのはこれらの分野です。どこの動物病院でも等しく持っている知識でない事を、知っていただきたいのです。それらの知識をどこよりも更新しております。そのようなアドバイスが出来るように、日々努力しているおります。

そのため常に情報を更新しており、過去の事が当てはまらない事があります。「昔、このように言われた」というのは、すでにもう使えない情報である可能性が高いです。それは当院でお伝えしたことでも同様です。最新の情報をキャッチして下さい。ネットなどでも取得出来たらよいのですが、どちらかというと古典的な情報がネットには9割以上を占めており、むしろそれらを使うと害となってしまうことがあります。

ドッグトレーナーさんに関しても9割以上が古典的な手法や学びで教えられています。動物病院と連携しているトレーナーさんでも、ほとんどがそうです。

当院では私達動物病院スタッフがアドバイスするとともに、最先端の学びをされている仲間を紹介する事も出来ます。ただし近郊にはそのようなスキルのドッグトレーナーさんが存在しないため、少し遠方の方を紹介させていただいております。

それは院長自らがプロのドッグトレーナーさんたちの勉強会に出席し、同じ方向を向き学びを更新しているトレーナーさんとだけつながりを構築しているからです。同じ方向を向いたトレーナーさんは、私が参加する良質なセミナーにだいたい出席されております。

だから、つながりのない方はそういうことなのです。

行動、メンタルに着目しましょう

動物との豊かな生活のためには、動物のメンタルケアはとても重要です。そこをいかに上手に出来るか、気遣いが出来るかで、動物にとって価値のある飼い主となり、絆がより深くなります。

動物に好かれたいのであれば、その子にとって価値のある人間になれるように一緒に努力しましょう。私も日々学びを深めながら実践し、苦戦し、また学びを深めている日々です。完璧な飼い主なんかでは無いですし、ですが、彼らがより快適に過ごせるように努力しております。

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