犬ワクチンの抗体検査

みなさん、わんちゃんの混合ワクチンは、毎年接種されていますか?多くの方が毎年接種されている事でしょう。

犬のワクチンの種類

犬のワクチンには、どんな種類があるのでしょうか

太字はコアワクチン(下で説明)です。

法律で義務

  • 狂犬病ワクチン

任意だが、犬を飼う上で重大な予防

  • 5種もしくは6種混合ワクチン
    • 犬ジステンパー
    • 犬パルボウイルス
    • 犬アデノウイルス1型(2型の接種でこちらも効果を示すため、実際は入っていません)
    • 犬アデノウイルス2型
    • 犬パラインフルエンザウイルス
    • 犬コロナウイルス(6種の場合)
  • 7~10種混合ワクチン
    • 5種に加え、レプトスピラが2~4種入っています
    • 上記に加え、犬コロナウイルスが入っている場合と入っていない場合があります。

ワクチンの種類

コアワクチン

コアワクチン:全ての動物に、接種を目指すべきもの

  • 狂犬病(日本ではコアワクチン)
  • 犬ジステンパーウイルス
  • 犬アデノウイルス2型(2型の予防をすれば1型も予防出来ます)
  • 犬パルボウイルス2型

とされています。

ノンコアワクチン

ノンコアワクチン:個体ごとに、判断するもの(必要に応じて接種)

  • 犬パラインフルエンザ
  • レプトスピラ
  • ボルデテラ・ブロンキセプチカ
  • ボレリア

とされています

※コロナウイルスは、ノンコアワクチンにも記載がありません。

当院の犬コロナウイルスワクチンに対する取り組み】の記事もあわせてご覧下さい

WASAVAのワクチネーションガイドライン

WASAVA(世界小動物獣医師会)「ワクチネーションガイドライングループ」がガイドラインを算定し、2007年が初めで、2010年、2015年と改訂を行っております。

リンクはこちら↓

https://www.wsava.org/WSAVA/media/Documents/Guidelines/WSAVA-vaccination-guidelines-2015-Japanese.pdf

犬コロナウイルスは、どう考えるか

WASAVAのワクチネーションガイドラインでは、

犬コロナウイルスに関しては、確実に病原性を持つウイルスであるという科学的根拠が十分えられず、ワクチン接種による感染予防効果のエビデンスはさらに乏しい

WASAVA 犬と猫のガイドライン2015年版 より

とされています

当院では、コロナウイルスが入っておらず、その他の点でも副作用の発生頻度が比較的少ないワクチンの選択に、努めております。

↓当院の取り組みは、こちらをご覧下さい

当院の犬コロナウイルスワクチンに対する取り組み】の記事のリンクです

ワクチンの副作用と追加接種

近年、人間の方でもワクチンの副作用を心配され、ワクチンを拒否するというような記事も目にします。ソーシャルメディアなどで情報が共有され拡散されていますが、残念ながら、多くが過剰反応であるのも事実です。

そうは言っても、実際、ムーンフェイス、蕁麻疹や軽い元気消失、下痢、嘔吐などの症状を示す場合もありますし、アナフィラキシーショックを示した場合、けいれんや虚脱、最悪のケースでは死んでしまう場合も、本当にごくごく稀ですがあるのも事実です。(人間でも同じです)

心配という気持ちもあるでしょうが、私が獣医師になった頃は、まだワクチン接種が徹底されておらず、一つの例として子犬販売の時もまったくワクチンを打たれない状態で売買されていました。今はほとんどが少なくとも1回は打たれています。また、ペットホテルや美容室に預ける際にワクチンが必須というところが、当たり前になって来ました。

そのおかげで、めったにこれらの伝染病を見なくなりました。ジステンパーもパルボウイルス感染症の診察や治療もたくさんの経験をしてきましが、今の若い先生では、治療経験さえ無い方もいらっしゃるかも知れません。

と言うくらいワクチンの接種率が上がり、発症する個体が減りました

たしかに、副作用の発生頻度とワクチンを打たないで病気にかかるリスクとの狭間で揺れ動いてしまうでしょう。しかし適切なワクチンの選択や接種の時間帯やタイミング、接種後の管理などをていねいに行う事でそれらのリスクはぐっと減らせます。

そう考え比較すると、ワクチンをせず病気にかかるリスクの方が高いのです。

ちなみに私自身は、インフルエンザのワクチンは毎年打ちます。医療従事者ほどご自身もワクチン接種率が高いのではないでしょうか?メリットとデメリットをしっかり知っているからこそ、接種するという選択をするのです。

飼い主として、病気から守りたいけれど、でも、副作用も心配ですよね。

でも、何もしないと言う選択が、一番怖い事なのです。

ではどうしたら良いでしょうか。

ワクチン前に抗体を測る

ワクチンの抗体価を測ると言う事をご存じでしょうか?抗体価とは、実際の免疫の力です。

今までは検査センターなどで外注検査を行い、さらに一つ種類のウイルスの抗体価を調べる費用でさえ、混合のワクチン接種より高い料金を払わないと行えませんでした。つまり、複数の抗体を調べるとトータルで数万円かかっていたのです。

しかし近年、抗体価測定の検査キットが発売され、院内で簡易測定が出来るようになり、コストも以前と比べると下がりました。

ワクチン接種を行った上での検査です。その為、まったく打たないと言う事はありません。

獣医師が ワクチンのガイドライン と照らし合わせながら飼い主さんとご相談の上、次回のワクチン接種予定の時に、ワクチン接種の代わりに抗体検査を行い、今年度の追加接種が必要かどうか判断する事が出来ます。

抗体価が上がっていたとしても、永遠に持続するものではありませんので、かかりつけの獣医師と相談の上、検査のサイクルを決めて、定期的にチェックを行っていきます。

ワクチンを打てば、みんな守られているのか

ワクチン接種をしても、適切なタイミングでなかったり、反応が鈍い子では、十分抗体が上がらないケースがあります。

その場合は追加接種を行い、しばらく間を開け、再度抗体検査を行う場合もあります。

確かに、めんどうくさい事ではありますが、ワクチンというものは打てば効くというわけでは無いので、ちゃんと抗体で守られているかどうか調べておくのは、とても安心な事です。

証明書も発行されますので、安心して下さい。

むしろワクチン証明書より、抗体価測定の証明書の方が確実なのです。

ご存じですか?ローレスポンダーの個体

ワクチンを打ってもみんな抗体が上がるとは限らない事は、先ほども簡単に書きました。ごく稀にワクチンに対して免疫応答しない個体がいるのです。

そういう個体を、ローレスポンダーと言います。

ミニチュアダックスやゴールデンレトリバーでしばしば見られますし、他の犬種でも見ないというわけではありません。

ではそう言う子は、どうしたらよいでしょうか。

例えば、動物が集まる場所には極力連れて行かないとか、体調が悪いときは、通常より早く動物病院に連れて行くなどが必要になります。

ガードが甘いと言う事になるので、そういう所で飼い主さんが注意する事も出来るのです。

そういうことを知る知らないとでは、大きな差があると思います。

抗体検査をしましょう

と言う事で、抗体検査を当院では実施しています。

狂犬病は法律で毎年打つ事になっていますので、抗体検査は実施されません。

また、レプトスピラが入っているワクチンを打たれているケースでは、レプトスピラは不活化ワクチンなので、1年持続しないケースもあると言われているほどのものです。レプトスピラに関しては、それだけ追加で接種する事も可能です。

抗体検査実施の動物病院が少ない理由

あくまでも想像になります。

  1. 抗体検査の検査キットは、5種もしくは6種ワクチンより、コストがはるかに高いです
  2. 検査に時間と手間がとてもかかります。スタッフの人手が取られるだけでなく人件費が発生します
  3. 抗体検査で大丈夫だった場合、持続してチェックに来なくて良いと、飼い主さんが間違った判断をされてしまう危険性
  4. 抗体検査を行い十分上がっていない場合、改めて再度ワクチン接種が必要になるという事を、手間と考える飼い主さんが居ないか、心配する

これらの理由が考えられるのかなと思います。私が導入に際して足かせになったのが、これらの理由でした。

「抗体価を測りましょう」というのは学会などでも発表され、実施したい気持ちがあっても現実の医療現場で出来るかというと、なかなか難しいものです。

実際当院は人手は足りませんので、こんな手間のかかる事をしている余裕はありません。しかし、動物にやさしい医療を追求してきて約20年。その中で、動物行動学を取り入れ、漢方の勉強にも取り組み、抗体検査を入れる事で、「予防や未病、元気で長生きの考えにより近づける」と考え、スタッフと何度も相談し、大変な中で頑張ってくれるという彼女たちの協力も得られ、支えてくれる気持ちに感謝し、実施に踏み切りました。

費用

5種ワクチンと同等くらいの費用で実施しております。(大変申し訳ありませんが、諸々の説明もありますので、料金の問合せは、電話では行っておりません

初診の方や他院でワクチンをされている方は、過去の接種歴などの精査が必要になりますので診察料など別途料金がかかります。過去のワクチン証明書や抗体検査証明書を持参の上、直接病院内でおたずね下さい。(過去の接種歴の聴取など必要ですので、行き違い防止のために、料金のみの問合せも含め、お電話では対応出来ません)

転勤などによる転入や、わんちゃんをお家に向かい入れる前にワクチンが完了してしまっていた場合(証明書で確認いたします)は、特例制度が適応出来る場合もございます。

今後、定期的に当院で予防させていただくようになった場合は、将来、当院のかかりつけの方の費用を適応出来るようになります。

今まで当院で外注の抗体検査を受けて来た方は

今まで当院のワクチンを使用し、ワクチンアレルギーが発生して外注検査をして来た方は、引き続き外注検査をおすすめしております。

この場合の外注での抗体検査は、時間はかかりますが、ワクチンメーカーのフォローがあるため院内に比べると安価で受けられます。

以下の方は、外注検査の対象外です(検査センターの規約のため)

  • ワクチンアレルギーの無い子
  • 他院で接種して、ワクチンアレルギーが出た経験のある子
  • 前回まで他院で接種された場合

抗体検査希望者のうちこのような子達は外注のシステムではなく、今回紹介させていただきました院内検査を受けていただく事となります。

くわしくは

諸費用、検査にかかる時間、手順などは院内で説明いたしますので、詳しくは、院内で獣医師にお尋ね下さい。

こちらにも解説があります ⇒ https://vaccicheck.jp/lp/

おねがい

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