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犬コロナウイルスワクチンに対する当院の取り組み

犬の代表的な伝染病で非常に怖いものに、犬のパルボウイルス感染症が上げられます。犬のパルボウイルス感染症は、感染力も強く、進行も非常に早く、致死率がとても高い病気です。

この犬パルボウイルスと今回話題にする犬コロナウイルスは、腸に感染します。そして、それぞれのウイルスが感染する部位が異なるため、パルボウイルス感染の際にコロナウイルスの同時感染によって、広い範囲のダメージとなり重篤化するという事から、コロナウイルスも入った6種ワクチンが十数年前に発売され主流になりました。

当院でもこれらの事をふまえ、発売当初はコロナウイルスの入った6種を採用しました。

しかし当院では、コロナウイルスの入ったものに変わった途端に、接種後の蕁麻疹や、ムーンフェイス(顔が腫れる)などのワクチンのアレルギーの発生頻度が増えたのです。

コロナウイルスが入ったためにタンパク量が増えた為なのか、メーカー自体の問題なのかは定かではありませんが、ちょっと使いづらいイメージがこみ上げてきました。

そこでもう一度、考え直してみました。

そもそも、コロナウイルス感染症と診断している獣医師がどれくらい居るのだろうか?私たちは、コロナウイルスが関与している腸炎を仮に起こしていたとしても、コロナだからという治療を行っているのか?

そう考えたら、私としてはコロナの重要性は低いととらえました。むしろ、ワクチンアレルギーのリスクを上げているだけではないか、それであればコロナを外そう。そう考えたのが今から約十数年前でした。コロナを採用してすぐのことでした。論文も発表されておらず、多くの先生が6種を選択している時代の話。当時は、時代に逆行している選択でした。

ワクチンは大きく分けて、5種ベースか7種ベースかで私はとらえています。

5種ベースは、5種もしくは6種

それ以上は、5種もしくは6種(5種+コロナ)にレプトスピラがどれくらい入っているかで、7(7にはコロナは入っていません)~10種と言う分類になると考えています。

今でも多くの動物病院では、5種ベースは、5種ではなく5種+コロナウイルスが入っている6種ワクチンが主流です。私は既にコロナウイルスが入っていないものをあえてチョイスしておりましたが、 2015年に WASAVAのガイドラインでもエビデンスが低いと発表され、このグループにおいても接種を推奨しない事が明記されました。

「数が少ない、お得でない」と言う事で飼い主さんの満足を得られず、獣医師としてあえて外した気持ちが伝えられなかった事にとても残念な気持ちを抱いた時期もありましたが、犬たちのために考えた事がこの様に世界的にも発表され、正しい選択が出来ていた事に安心を覚えました。

私のような、飼い主さん満足より動物の事を優先して考える動物病院は、残念ながら一般的な評価としては良い動物病院では無いのです。

今、ネットで事前に調べられるため、下調べられる方が増えてきました。それ自身は私も推奨しますが、ただ現場でのお話に耳を傾けていただけなくなるくらいに、ネット情報に頼ってしまうと飼い主さんには、「いっぱい入っているものをお得に打ちたい」という気持ちが強く、それを満たせない事になります。

これらのエビデンスからも、コロナウイルスは必要ないと私は考えますし、単にエビデンスと言うだけでも無く、元々私自身でたどり着いていた考えの上のこれらのエビデンスでの証明ですので、私はこの考えを強く支持します。

また近年、コロナを外した5種を新たに発売したメーカーもあります。その意味を考え5種に戻っていく流れになるか、数が減ると飼い主さんの満足度が得られない為に減らす決断が出来ないか。

どういう時代になるのか、見届けたいものです。

【注釈】現在レプトスピラが4種類入っている10種ワクチンに切り替えましたが、コロナが入ってしまっております。将来、コロナが入っていない物に変わるものが出てくることを祈っています。

犬ワクチンの抗体検査

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